オールド・エイジと妖精の蜂蜜酒

1/2
前へ
/15ページ
次へ
アルゴ・ヘイムと呼ばれる場所に一人の占い師が住んでいました。アルゴ・ヘイムとは各地で迫害され、行き場を失った魔女や呪術師達が集まって出来た街です。 占い師の名前はエフェメラ。肌艶も良く、見た目は二十歳前後に見えるが実際は還暦を過ぎています。何故、彼女がそれ程の美貌を保って居られるのかについては、「魔法を使って何か怪しげな薬を飲んでいるから」だとか、「手術を繰り返しているから」など沢山の憶測が飛んでいました。一般ではあり得ない彼女の容姿を周囲は大いに気味悪がったし、彼女の占いの腕は良い事も悪い事もぴったりと当てていました。こうして、益々増える嫌な視線や噂話から逃れる様に、各地を転々とした末アルゴ・ヘイムへやって来ました。 此処に住む者の多くは訳ありで、多くを聞く事も語る者もおりません。 彼女の美しさの秘密を知りたがっても、彼女が口籠ると皆、それ以上は聞いて来ませんでした。 此処には、魔法使いや魔女だけでなく、普通の人間も一緒に暮らしています。魔法や呪術は信じられ、存在する事が普通の世界では有りますが、その存在は未だ未知な故に知識が無い人達から、何か(・・)があると「お前の所為だ!」と心無い言葉や石を投げられたり、時には命を奪われそうになって逃げて来た者、中にはそうでは無いのに、決めつけられ、命辛々生き延びた人間がこの地に辿り着き、魔法使い達に命を救われました。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加