1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
懺悔
「おじいちゃん、これあげる!」
もう2年か、3年前の話。
友人間でチェキが流行っていた。
写真を撮るとすぐに印刷される優れもの。
粗い印刷に、たまに失敗する写真。
何よりも真っ白な写真が少しずつ色付けていく様が綺麗で、あっと言う間に人気になった。
例に及ばず私も購入し、暇さえあればシャッターを押して楽しんでいた。
ある日私は、祖父の家に遊びに行った。
祖父は末期のガンで入退院を繰り返していて、久々の帰宅。
私は当たり前のように祖父とツーショットで写真を撮り出てくるのを待った。
2枚撮影し1枚を何となく祖父にあげた。
他にもたまたまいた親戚や祖父オンリーなどたくさん撮影し、
「おじいちゃん、これあげる!」
と渡した。
「要らんわ」
って笑ってたっけな。
「要らないなら捨てていいよ」
私はそう言って半ば無理やり祖父に押付けた。
どうせ捨てるだろうなあ、そう思いながらも持って帰る訳にも行かず、祖父のベッドに置いて家路に着いた。
最初のコメントを投稿しよう!