探偵始めました

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 卒業後は事務所設立のために昼夜働き給料は全てを貯金した。(すね)をかじらせてくれた両親には感謝だ。そして俺はとうとう子どもの頃からの夢を叶えたのだ! 『御子柴(みこしば)探偵事務所』  古いアパートの一室を借り、玄関に看板を出した。さあ来い難事件。俺が解決してやるぜ。 「権蔵(ごんぞう)くん、野菜採れたから持って来た〜。あら、相変わらず暇なのねぇ」  朝っぱらからうるさい客がきたもんだ。 「美代子(みよこ)、まだ朝の7時だぞ。こんな早くから客なんか来るわけないじゃないか」 「え〜、うちの家族はもうお日様が出た時から働いてるよ」  美代子は家が近所の幼馴染みだ。美代子の家は大地主で、かなりデカイ畑や田んぼを持っている。時々採れたての野菜を持ってきてくれる。有り難い……いや、家ならいいが事務所にまで持って来られるのは迷惑だ。せっかく都会的センス溢れる家具や調度品を揃えた事務所が土臭くなってしまう。
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