探偵始めました

1/7
52人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ

探偵始めました

 国内外の有名無名の推理小説は殆ど読んだ。毎日お昼過ぎに2時間ドラマ鑑賞することを日課にしている。時々放映される警察24時も毎回必ず観ている。  物心ついた時から推理小説が大好きで、大人になったら絶対に探偵になるんだと決めていた。  大学時代のアルバイトはもちろん探偵事務所。だが学生の俺には浮気調査とか迷い猫探しとか、そんな仕事しか与えられなかった。  しかしそんなつまらない仕事も黙々とこなし、本職の探偵と何人も顔見知りになった。料金や報告書の書き方、依頼主との接し方なども学んだ。そう、いつか自分で開業する時のために。  俺がいつか自分の事務所を持ちたいと話した時、所長は笑顔でこう言った。 「うちの事務所フランチャイズ募集してるからいつでもどうぞ」  違う。俺がやりたいのは浮気調査でも迷い猫探しでもない。狡猾な犯人との頭脳戦、警察でさえ舌を巻く難解なトリック、そんな事件を扱いたいのだ。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!