ホホエムカノジョ。

21/22
前へ
/22ページ
次へ
   これは、そう遠くない過去の記憶。  いつかの彼女との、他愛もない思い出の一つ。 『――ねぇ、知ってる? 桜の花言葉には色んな言葉があるの』 『――へぇ、例えばどんなの?』  そのとき彼女は桜の木の下でそっと微笑んで、こう言ったんだ。 『――あなたに微笑む――』  桜舞い散るこの場所で、俺は想いを馳せる。  願わくば、またいつか、彼女の笑顔が見れますように。  そうして、散った花びらは願いをのせて、風に乗り、空高く舞っていく――。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加