・おんもに出てはいけません。

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 わたしの親友はいつもそんなことを繰り返しいっていました。  他の子はだいたいその子を馬鹿だと笑い、鬼は可愛くないとその子の腕をもぎました。親友は耐え、やっと外へ逃げたのです。ずっと、会っていません。きっとこの暗闇の果てでのたれ死んでしまったのでしょう。そうしてまでこの檻から抜け出たいなんてどうして思うのでしょうか。わたしはそう、思っていたのです。  鬼達がうろついている外は寝ても覚めても暗いままです。真っ暗です。地面とお空があるのは分かりますが、どこまでも平たいし寒くも暖かくもありません。鬼の姿だけがはっきりと見えます。まるで黒い紙にシールを貼ったようです。わたし達のいる檻の中だけがとても明るいです。檻の上の方には青いカーテンが下がっていて、綿でできた雲が吊り下げられています。天井の中心には丸いランプがつけられて、たまに光が弱くなったりしますがいつもはまぶしいくらい明るく光っています。  地面にはたくさんのオモチャやお布団、クッション、お菓子とかが散らばっていて、わたし達はそれらを好きにしていいのです。いつそういわれたのかは知りません。でも他のだれかは平気で色々使って遊びますし、鬼も何も咎めません。だからわたしもお絵かきしたり、お人形でごっこ遊びをしたり、飴をなめながら友達とおしゃべりしたりします。ここはとても平和です。外に出さえしなければ、恐ろしいことは何もありません。
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