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世界の外側で生きているみたいだ、と思いながら秀は自転車をこいでいた。
それってもう、生きているって言わないんじゃないだろうか。
なのに、耳はちぎれるほど痛い。
寒さは、彼の身体を細かく切りつけるように染み込んでくる。
雪子が死んでから、楽しいことも面白いことも鮮明に感じないようになってしまったのだから、こういう寒さや痛さももっと感じなくなってもいいのにと思う。
大好きだった漫画も、もう一年買っていない。
描くのも好きだった。
中学の頃は、学校の先生たちを登場人物にしたトレンディドラマ風コメディ漫画を自作していた。
アホみたいに、学校で流行った。
高校に入ってからも友人向けに描いたものをSNSに上げていたが、その連載も止まって一年経つ。
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