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『つららだよ。
ほんと、テレビで見てたけど、東京の雪なんてあまあまだよ。
こっちは死人が出たりするからね。』
『ニットです。
降ったね。
私は自主休校した。
自習はしなかった。
雪といえばさ、私は「シザーハンズ」なんだ。
ジョニデの昔の映画なんだけど、今日は編み物しながら観てた。
ジョニデが雪降らすシーン、すごくきれいなんだ。
小さい頃この映画を初めて見たときは、私の住む街の雪も、このハサミのお兄さんが降らせてるんだって思ってた。
あたし馬鹿!
高校絶望的!』
シザーハンズか。
少し前に、景冬の家で観たことを思い出す。
あのとき景冬は「この映画は雪のシーンと、女優さんたちの口紅の色が最高なんだ」と言って秀を誘った。
景冬は映画中盤から静かに泣き始め、そんな彼女が新鮮でほんの少しだけドキドキしながら泣き顔を盗み見ていた。
そういえば、あの話も高校生の子どもが家に帰ってきたら親が知らない人を住まわせていて、それを知らずにはち合わせ、「ぎゃーっ」となるシーンがある。
なんだか、昨日の出来事に似ている。
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