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 雪子があんなに多くのことばを持っていたこと、中学生活をあんなふうに思っていたこと。  どれも秀には知る由もなかった。  そもそも、興味を持たなかった。  そんな兄妹は、いくらでもいるだろう。  なのに今、知りたいと思う。  いるのが当たり前だった、大きな存在。  今からいくら雪子の面影をたどっても、それが埋まるかどうかなんてわからないし、死んでからそんなことをするなんておこがましいような気もする。  眠りの靄にうもれていきながら、明日このことを景冬に話そうと思った。  
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