5

15/31

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
「すみません、電話繋いだままで待機してください」  景冬は男性にスマホを返す。  みっともなくおろおろする秀には目もくれず、景冬は見つけ出したうららのスマホを操作する。  その手は白く、震えている。  寒さのせいではないことくらい、秀にもわかった。  しゃがみこんだ景冬は、苦しむうららの傍らで自分も心臓を強く抑えている。  秀の鼓動も速い。  膝までガクガクしていた。 「あ、もしもし、私、うららちゃんの友達です」  うららの親の、どちらかが出たらしい。  ここで初めて景冬の声が詰まった。  泣くのを堪えて、必死に緊急事態を伝えている。 「遅くなりました!」  駅に走っていった女性が、AEDを抱えた駅員と一緒に戻ってきた。  
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加