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第二話 お付き合いは大事デス
ドキドキするな。
三番のところに行った。
誰もいない?一歩前に出ると、机に伏せるようにして書き物をしている人がいる。
「あの?」
「・・・」
顔を上げじっと見る人。
「アルべ・オールバン?」
「はい」
「ふん、若造が、なにしに来た」
若造?俺のこと知ってるの?
「お金を預けたくて」
「ほう、なかなか稼いでいるようだな・・・」
こんこんとテーブルを指で鳴らしている。
「ああ、これです、お願いします」
長い爪をひっかけ、中を覗き込んだ。
舌打ち、そして長い爪をカリッとひっかいた。
きらりと光る黄金色。
「ふん、十二万七千三百、あっているか?」
「は、はい」
数えもしないで金額を言い当てた、すごい。
「袋はこれでいいのか?」
「あ、はい、ただこれをつけてくださいますか?」
父さんに言われていたものを渡した。
チャームが拾ってきた石に穴をあけたものだ、ものすごいきれいな青い石なんだ。
「ふん、おやじの入れ知恵か、まあいい、これはお前のものだ、なくすんじゃないぞ」
「ありがとうございます」
「ふん」
「ああそうだ、これよろしければ、ありがとうございました」
それを爪で引き寄せました。
ふん!
口に入れました。
「まあいい、食うか?」
キャンディーです。彼らは頭を使うので絶対好きよとチャームに言われ持って行ってからは、ないと、ないのかと催促されるのでこうして持っていくんだそうです。チャームは賄賂とか言っていたけど…
金貨は煤で黒くしました。
大きさ重さ。それだけで預かる人はわかるそうです、チャームは見てきたように言うので、おかしな奴と思っていたけど、本当だった。
隣の人にも上げるんだ、なんだか優しいな。
父さんも終わったようです、かえろうとしたその時です。
「出すもの出せって言ってんだろうが!金じゃねえんだ、袋だよ、袋だけよこせ!」
その声に振り向きました。
ブルーだ。
「こんなところで大声…あの子も終わりだな」
「父さん」
「ん?」
「帰ろう、みんな待ってる」
「そうだな」
どうも税収入がうまくいかなくて、王宮から課税を言い渡されたようです。
人口が減っても、土地は減るわけはありません。
作物が作れなければ、税収入はありません。
やせ細ったヤギをうっても大した収入にはなりません。
残った人たちの税金を上げれば、村から人は出て行きます。
王様が隣の村へ来るので、それまでに税金を徴収しなさいと言われているみたいですが、どうなることやら‥‥。
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