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僕は母を刺したままになっていた包丁を苦労して母の胸元から抜き、それを持ってそろそろと寝室の入り口のドアに隠れました。
父は「ひゃあ」と情けない悲鳴をあげて案の定、血の跡を辿ってこちらにやってきました。
だから僕はその喉元に包丁を突き立てました。
母と違い、父は抵抗してきたので僕は無我夢中で刺しました。
面白がって僕に目の前で自慰行為をさせたこと、僕の腹や背中にたくさんの傷をつけたこと、僕のバイト先で僕が憧れていたバイト仲間の女の子に僕が未経験だからよろしく頼むと下卑た笑いで言ったこと、数えきれないたくさんの苦しみを思い出し、それを憎しみに転化しました。
気がつくと父は丸まって動かなくなったので、僕ははあはあと息を整えながらそばの壁にもたれかかり、ずるずると座り込みました。
血の匂いがしました。
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