それだけの話

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僕はかなり母に支配されて生きてきました。 ああしなさい、こうしなさいというよりは、「どうしてこれが出来ないの?」が多かったように思います。 母にとって僕はステータスでした。 10代で産んだ子供。若い頃からモテたという証拠として、僕を見せびらかしていたように思います。 家の中と外では、態度が違いました。外では猫撫で声で僕を呼び、家では口汚く僕を罵ります。「産まなきゃよかった」という言葉の意味を理解した時のあの心細い感覚は、今思い出してもゾッとします。 僕はとにかく母に怒られないように静かに主張せずに生活するのですが、昨日は褒めてもらえたはずのことを怒られたり、初めて聞いたことを「前にも言ったでしょ」と怒られたりととにかく支離滅裂でした。 家にいるのが嫌で、だけどそこしか居場所がない。 僕はいつもおどおどしながら暮らしていました。
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