それだけの話

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大きくなった僕の顔が、僕の血縁上の父に似ていると母は言いました。 そのせいで中学生くらいから、風当たりが強くなりました。 僕は学校の制服や文房具を買ってもらう時ですら、 「もったいない」と散々嫌味を言われ「お前なんかが学校に行ったって」と罵られたものです。 それでも学校で使うものは、体裁があるので比較的容易に買ってくれていました。 僕が文句を言われれば、それで済む話でした。 しかしそれ以外のものは、あまり買ってもらえませんでした。 だから僕はゲームの話もおもちゃの話も友達と出来ません。そもそも遊ぶのに着ていく服がありません。ボロボロになった小学生から来ているTシャツを着て歩いているところを同級生に見つかり、「貧乏人」と馬鹿にされるようになりました。 それはすぐクラス中に広がり、僕は学校での居場所を失いました。
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