それだけの話

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高校に進学することもなく、就職することもなく、僕は中学校を卒業しました。 母と話し合う先生は、何度かのうちにすっかり諦めてしまい、僕を疎んじるようになりました。 先生にとって僕は厄介な生徒だったでしょう。 卒業式の日も、目を合わせてくれませんでした。 バイトを始められる歳になり、働くようになると、今度は母に金をたかられるようになりました。 「今まで誰が育てたと思ってるの」 そう言って喚く母を見たくないから、僕には金を渡すしか選択肢がない。 母と会いたくなくてバイトを増やす。そうすると母から要求される金額が増える。 なんのために働いているのか、よく分からなくなりました。
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