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母は呆然と僕を見て「分かんない」と言いました。
「もう何も分かんない」と。
その目は赤子のようで、親としての威厳などかけらもありませんでした。
だから僕は「楽にしてあげるね」と台所から包丁を取り出し、母の胸を刺しました。
母は抵抗することなく「ごめんね」と言い残して動かなくなりました。
抱きつく形で僕にもたれかかった体は、暖かくて、そして血のせいかぬるぬるしていて、僕よりもう小さかった。
なんで早くこうしなかったんだろうと思いました。
母をベッドの上に寝かせてやろうと母と父の寝室のベッドの上に横たえました。
母はその時にはもう息をしていませんでした。
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