それだけの話

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母の頭を枕に乗せた時、枕がカサッと音を立てたので気になって、枕の下を探ると、白っぽい包紙に包まれた粉薬のようなものと、注射器が見つかりました。 まさかこれは、と思いました。 だけど何故かすんなりと受け入れられました。 母の高揚した笑い声。父のギラギラした目。それはこれで説明がつくのだと。 しかし同時に苛立ちを覚えました。 僕のバイト代はもしやこれに消えていたのではないかと。 汚らわしいと、ベッドの上に放りました。 その時、玄関先で音がしました。 父が、帰ってきたのです。
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