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はっ!?痛みがない?目もはっきり見える。殴られた痕が気になり、上着を脱いで体のあちこちを見た。どこにもない!?
「これはどういうことですか!」
僕はその状態のまま彼女を見た。彼女は真っ赤な顔をしてうつ向いている。
「あのう………。どうかしたんですか?」
「すみません。男の人の裸を見馴れていないもので、できれば服を着てほしいのですが」
「これは失礼しました!」
僕は服を着直して、もう一度聞いた。
「傷を治してくれたんですね。有難うございます。命の恩人です!」
「当然のことをしただけなので、気になさらないで下さい。それからまた傷を負わないよう、体を強くしていますから」
「えっ?それはどういう………」
「私は急ぎ用がありますので、これで失礼致しますね」
僕に頭を下げて、立ち去ろうとした。
「あ、待って下さい!僕はディノ・ハウワーツです。貴女の名前は?」
「マリヤ・アドシノーヌと言います。ディノさんでしたね、くれぐれもお気をつけて」
「有難うございました!」
僕がまた礼をして頭を上げた時、マリヤさんの姿は何処にもなかった。
消えた?夢でも見ていたのだろうか。そう言えば服も特に汚れていないし。いや、確かに僕は死にかけたんだ!覚えている、間違いない。じゃあどうして………。
「あっ、そうだ。とにかく急いで帰らないと。きっと心配している」
僕は家に向けて走り出した。
「 うおぉっー!何だ、これは!?」
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