6 カイラノマ国王の依頼

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「国王陛下、申し上げにくいのですが………」 こちらは立派な顎髭の老人が口を開いた。 「例え力があろうと、彼女はまだ子供。人を教える立場ではないでしょう。経験は確かに少ないですが、優秀な魔法師も数多く育っております。国の内情を話したり、国王陛下自らが頭を下げるというのは如何なものかと」 「黙れ!ガクキサス。父の代から相談役としているが今は、私が国王だ。私は体面など気にしない。如何に国民を幸せにできるかが上に立つ者の使命だと心得ている」 国王陛下は立ち上がり、拳を振り上げた。 「危険を取り除く事が出来るなら、私は何でもするつもりだ。常に最悪の状況を考え、準備を怠ることはしたくない。それとも私の考えが間違っていると申すのか!」 「申し訳ありません、国王陛下」 ガクキサスさんは頭を下げて一歩後退した。国王陛下が怒ったら、やっぱり怖いんだ。 「クナイラ・ド・キーアイガ大司教、そちはどう思う?今の魔法教会に魔族を退ける力は十分あると思うか」 ルーズガイ司祭より渋い祭服を着た、もう一人の老人に陛下が尋ねた。 「中級以下の魔物なら、少々群れで襲ってきても防ぐことは出来ましょう。しかし一体でも上級以上の魔物が来れば、食い止める手段はないでしょう」 「私もそう思う。で、どうであろうか?」 僕としては自国だから、マリヤがいたら心強い。でも自由なマリヤをここに縛るような真似はしたくない。それに魔法が使えるとはいえ、マリヤは聖職者なんだ。 でもロケチグノ領で、三年以内に戻らないと犯罪者になるという約束をさせられている。この場合どうする?どうしたらいいんだ? 「国王陛下。今の私は彼のある症状を治す旅をしています。それが終わり次第、再びこちらに戻ってくることになっています。その時、どうしても必要だとお誘いして頂けるなら考えたいと思います」 「何!たかが一人の事情に、国王陛下の申し出を拒むと申すか!時間にゆとりがあるわけではないのだぞ」 ガクキサスさんが僕らに向かって怒鳴った。 僕一人の為に国王陛下とマリヤが喧嘩するはめになるのか!?それはまずい、まずいよ〜!
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