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「ただ残念なことに、冒険者ギルドでの登録が叶いませんでした。国王陛下の力で何とかならないでしょうか」
マリヤ、それって………。
「ほう~。もし本当にそれ程の腕前なら冒険者でなく、私の推薦で我が国の魔法騎士団長の一人として取り立ててもよいのだが」
「本人は冒険者として活躍したいそうです」
「うむ〜。本来ギルドとは中立の独立した機関なので、国王といえど干渉できないのだが。一度ギルドマスターに連絡して、何とかできないか相談してみよう。まあ、むげに反対はしないだろう」
「有難うございます。それで先程、北東より魔物がという話がありました。私たちもこれから北東へ参るつもりです。叶うなら魔物討伐の先見隊としてギルドに依頼して、私たちが行くというのはどうでしょう」
うん、いいんじゃない。
「兵を動かすと民に不安を与えるかもしれません。もし仮に魔物が現れても、私たちで対処致します」
「成る程、悪くない。実は断れられた時、調査だけでもお願いできないものかと思っていたのだ。いや~、それは助かる。今宵はゆっくりして、明日にでも結果を伝えよう。早急に手配させる!」
「分かりました、私たちも準備して待っています」
僕らは国王陛下が用意してくれたという高級宿屋に来ていた。広い部屋に一同集まる。
「すみません、勝手に話を進めてしまって」
マリヤが真っ先に、深々と頭を下げた。僕らは互いに顔を見渡した。
「いや~。マリヤが国王陛下の相談役と論戦し始めて、一体どうなるのかと心配したよ」
「ご心配かけました………」
「確かに上級魔物と一度だけ戦ったことはあるけど、私一人で倒した訳じゃないのよね。他の冒険者と一緒だったから、今一つ自信が持てないというか………」
「えっ、そうなの?てっきりそういう魔物を何匹も倒してきたから英雄だと………」
僕にはまだ分からないことが多そうだ。
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