6 カイラノマ国王の依頼

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「食事よー!」 カノンが大声で叫んだ。皆、崩れた。 「人間、食べないと力が出ないわよ。さあ、皆で行きましょう!」 カノンの勢いで、他に何か考えていたのに何処か飛んでしまった。その後、痩せの大食いと誰かが言っていたのを思い出した。カノンの前に置かれた料理が次々と空になり、僕らが一皿食べ終わる前に皿の山が出来上がっていくのである。 「まだ食べるの~?」 周りの人も含め、呆気に取られている。これからの食費が大変だ。だけどこうやって食卓を囲んで皆で食事するのが久し振りで、何だか懐かしくもあり楽しかった。 皆はこの日、大いに飲んで(お酒じゃないよ)食べて、早く寝たのだった。 キガヒスト王国へ、出発の早朝。 僕は外が騒がしくなる音で起きた。三階の窓を開けて下を覗くと、宿屋の前に武装した男どもが五十人ほど集まっているではないか。 「何だ~。何を騒いでいるんだ?」 「ディノ、大変よ!!」 カノンがいきなり戸を開けて、僕を見るなり真っ赤になって物を投げつけてきた。 「な、何すんだよ!」 「服、着ろ!変態ー!馬鹿ー!」 下着姿で立っていたのだが、そっちが勝手に入ってきたんじゃないか。 その後ろからマリヤやラミィも来たので、僕は慌てて服を着た。 「ディノ。あれ、何なの?」 「僕に言われても~」 コン、コン。扉を叩く音。  朝早く誰だろう?
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