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どばあぁぁぁ~~~~~~!!!
水が噴き出し流れる音が聞こえた。再度、窓から外を見下ろした。濡れた大地と黒の帽子を被った人物しか見えない。むさ苦しい男たちの姿は何処にもなかった。
僕らは下りて、外に飛び出した。
立っていたのは黒帽子に黒マントを羽織り、青い玉を埋め込んだ長い杖を持った少女だった。
背丈は僕と同じぐらい。同年代か?
「冒険者たちは?」
「ウットウしいから、あっちへ流してやった」
濡れた道の先を指差して言った。
「僕はディノ・ハウワーツ。君は?」
「魔法教会からこの度支援するように言われました、イズミ・セノージョと言います」
無表情で答えた。
「一人だけ?」
「そうです。ご不満ですか」
「いえ、決してそんなことは………」
僕と一緒の黒髪だ。可愛い顔立ちだが、無表情で何を考えているかさっぱり分からない。
「いいんじゃない。あ、私はカノン・エシャーシ、十七歳。ねえ、ところで貴女って幾つ?」
「不詳」
「不詳?」
「どうでもいいこと。だから呼び捨てで構わない。ところで準備が出来ているなら出発しませんか」
僕をちらっと見た。いや、睨んだ?
「あたし、ラミィ」
「イズミさん。私は………」
「マリヤ・アドシノーヌさんですよね。よく存じ上げています」
マリヤは首を傾げる。
「よ、よし。それじゃあ皆、国の北東にあるキガヒスト王国に向けて出発しよう!」
イズミを加えた僕らは馬車に乗り込み、まずは王都から少し北にある国境の砦に向かった。
キガヒスト王国とは特に国交を開いているわけでも、敵対しているわけでもない。これからが本当の未知なる旅へとなるだろう。男一人、頑張ろうと自分に誓った。
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