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7 キガヒスト王国への道
王都から北に走ると荒野が広がり、先に長い山脈が広がっているのが見える。その一ヶ所に縦長の穴が開き、側に岩壁をくり貫いた検問所を兼ねた砦がある。洞窟を抜けた先が異国ということになる。
キガヒスト王国は近隣の国といえど広大な密林や岩山で遮られているので、順調に馬車を走らせても一月以上はかかるらしい。
薄暗い洞窟に魔物が潜んでいるかもしれないと警戒していたが、灯りもあって難なく通り抜けているので拍子抜けしてしまった。
外の明かりが差し込んできた。いよいよ国外に、僕は未知なる冒険への一歩を踏み出すんだ。
「行くぞー!」
「ダァーーーーッ!!」
茶色の物体が真横から急に飛び出してきた。
「うわっ!!」
僕は慌てて綱を引っ張って、馬車を止めた。よくぶつからなかったと思う。
目の前に馬と同じ大きさ程の生き物が現れた。大きな目にくちばし、長い首に茶色のふあふあ体毛。あと長くて太い二本の爪足が特徴だ。
鳥か?それにしては大きい。魔獣なのか?魔気は感じなないが………。後ろに同じのが十頭以上集まって道をふさいでいる。
「こらぁ~!乙女の柔肌に傷をつけたらどうするんだ。下手な綱さばきしやがってー!」
言葉遣い、わる~
カノンが幌をめくって、怒った顔で出てきて僕に詰め寄った。
「カ、カノン。こいつらが………」
「ん!?何?」
カノンが未知の動物と相対する。
「ウチョーーーリン!!」
カノンは正面の一頭に飛びついた。
「ええっーーー!!」
僕は国を出てすぐの出来事に、ただ驚いて唖然とするばかりである。
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