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「それでラジオ、どれくらい人集まるの?」
恐る恐る聞いてみる。どれくらいの人が陸を見つけてくれているのか。
「今日は土曜日だからまぁだいたい100人前後かなぁ」
「そんなに来るの!?」
てっきり数人程度だと思っていた。
「俺のアカウント、フォロワー結構多いよ」
自慢げにスマホを見せられる。ツイッターのフォロワーが数万人。
「凄い!」
「だろ? おかげでここ最近はSNS経由で依頼が爆増」
「すご……」
陸はこの世界で生きて黒いものに飲み込まれず、妥協せず、自分の信念の元ひたむきに努力をしてきた。そして届くべき人に届き、結果を出している。
「でも、ラジオで内情話したりとかして同業者の人に怒られないの?」
「怒られまくり。嫌がらせとかやばいよ」
「えー!? 大丈夫なの……?」
「まーなんとかね」
陸は2時間ほど生配信を行なった。つらつらと語るだけなのかと思いきや途中で質問コーナーを挟んだりと、飽きさせない構成。また、他の探偵事務所に酷い目に遭っていると思しきリスナーさんの相談に親身に乗るなど、客観的に聞いていて好印象だった。
ラジオだけじゃなくyoutubeやブログなど各種媒体で探偵の情報や手法を発信しているようだ。コメントなどを読んでいると、思いの外探偵の仕事に興味がある人が多いということも分かった。
今まで誰もやらなかった、探偵の手の内を明かすことで興味を引いて、真摯な面を見せることでファンを作る。上手い。
「操、飲む? 日本酒だけど」
優佳が今夜は眠るそうなので、操もお猪口一杯だけ付き合う。
「さっき考えてたの。どうしたらもっとあの人たちが地獄に落ちるのかなって」
操は、クライアントを救いたいという想いももちろんあるが、正直なところまだ『不倫した側を破滅させたい』という半ば私情の方が強い。
「虫も殺せないほんわかちゃんの発言とは思えないなぁ」
「本気だよ」
彼らに敬を重ねている。
「いいと思う、むしろ最高。これからも助手として頼むよ」
「でも、私は今後何をすればいいの? 今のままだとできることなんか少ないでしょう?」
尾行も張り込みもできない操に一体なんの助けができるのか。
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