10.再生

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「操の目下の任務は南川洋二とその女の裏アカウント探し出すこと」 「分かった」 「優佳さんいわく、ダンナがツイッターのアカウントを持ってるのは間違いないって」 「ツイッターね」 で、アプリをインストールしたはいいが、どうすればいいか分からない。 「うーん……」 陸に聞けばなにかヒントをくれるだろうが、なんでも聞いてるわけにもいかないから知恵を振り絞ってみる。彼らの立場になって考えてみてようやく閃いた。 ――そうか。この旅館は有形文化財。もしかしたら旅行のことを呟いてるかもしれない。操は【美桜楼】をキーワードに検索かけ、新着順から見る。 「陸……見つけたかも」 鋭い興奮が湧き起こり固唾を飲んで報告していた。 「早っ。どれどれ?」 「『south-yoh』てアカウント。端末はAndroidかな」 【美桜楼きた。すごい笑笑】という投稿文に画像が添付されている。画像の中に女の背中が映っており、先ほど受付にいた女と服装や容貌も一致している。 「これはガチビンゴだわ! やるじゃん!」 「こんなすぐ見つかるなんて……!」 「いえーい!」 興奮のあまりに両手でハイタッチしていた。区切りを設けていたはずなのに、いつの間にか距離がゼロになっている。だが、教えてもらっている立場だし、変なことも起こらないだろうし、まぁいいかという気になっていた。 陸は景気良く日本酒を煽り、くぅぅと熱い息を吐いてから言う。 「その投稿にイイネしてる女とかいない? あとフォロワーの中に女がいないかな」 「あ、なるほど。フォロワーとかイイネでたどれるかな!」 ところが即見つかった南川洋二に対して、掘っても掘ってもそれらしい女は出てこなかった。 操は必死にスマホと睨めっこしているうちに眠ってしまっていた。ここ最近は眠りたくても眠れなかったのに、疲れて眠ってしまうなんて久しぶりだ。
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