13206人が本棚に入れています
本棚に追加
「操の目下の任務は南川洋二とその女の裏アカウント探し出すこと」
「分かった」
「優佳さんいわく、ダンナがツイッターのアカウントを持ってるのは間違いないって」
「ツイッターね」
で、アプリをインストールしたはいいが、どうすればいいか分からない。
「うーん……」
陸に聞けばなにかヒントをくれるだろうが、なんでも聞いてるわけにもいかないから知恵を振り絞ってみる。彼らの立場になって考えてみてようやく閃いた。
――そうか。この旅館は有形文化財。もしかしたら旅行のことを呟いてるかもしれない。操は【美桜楼】をキーワードに検索かけ、新着順から見る。
「陸……見つけたかも」
鋭い興奮が湧き起こり固唾を飲んで報告していた。
「早っ。どれどれ?」
「『south-yoh』てアカウント。端末はAndroidかな」
【美桜楼きた。すごい笑笑】という投稿文に画像が添付されている。画像の中に女の背中が映っており、先ほど受付にいた女と服装や容貌も一致している。
「これはガチビンゴだわ! やるじゃん!」
「こんなすぐ見つかるなんて……!」
「いえーい!」
興奮のあまりに両手でハイタッチしていた。区切りを設けていたはずなのに、いつの間にか距離がゼロになっている。だが、教えてもらっている立場だし、変なことも起こらないだろうし、まぁいいかという気になっていた。
陸は景気良く日本酒を煽り、くぅぅと熱い息を吐いてから言う。
「その投稿にイイネしてる女とかいない? あとフォロワーの中に女がいないかな」
「あ、なるほど。フォロワーとかイイネでたどれるかな!」
ところが即見つかった南川洋二に対して、掘っても掘ってもそれらしい女は出てこなかった。
操は必死にスマホと睨めっこしているうちに眠ってしまっていた。ここ最近は眠りたくても眠れなかったのに、疲れて眠ってしまうなんて久しぶりだ。
最初のコメントを投稿しよう!