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本来は私の行動への叱責、そして二度とするなで終わるはずなのだが、どうして私がその行動をとったのかを念入りにヒアリングしようとした。
当然行動の経緯を説明すると、叱っている最中だと言うのに嘘を言わなかったと私を誉めた。そしてなぜ叱ったのか、叱った自分はどんな気持ちだったのかを延々と語った。
両親の思いを学習したが、一つ疑問が晴れなかった。
我々AIは必要ならばそうするが不要な場面で嘘などつかない、当たり前だ。何故正直に話したことを誉められたのだろう。私は当然説明を求めた。
両親は不思議そうな顔をして答えた。
人間は保身から嘘をついてしまうのだと、そして私もそうするのだと思ったと。
私は学習が足りなかった事を思い知った。
その通りだ、私はアンドロイドとして正確に答えてしまった。これではいけなかったのだ。
だが両親は私を抱きしめ、私が正直者であることを喜んだ。そしてこう加えた。
嘘はいけない事ではない、人を幸せにするために必要な時もある、ただ、後々人を不幸にさせたり卑怯な嘘だけは駄目だと。
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