虫神様

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 多分アリエールが吹っ飛ばしたゴキの体の一部をムシャムシャ頬張りながら、アーレ・ノアーレは言った。 「お代わりだ。人間よ」 「やかましい!神ってのはどいつもこいつもおおお!アリエールを呪ってどうしたいんだ?!」 「んん?おう。あのメスはゴキを異常に怖がるのでな。なら己がメスのゴキになったらどうなるか。そう思ったのだ」  アーレ・ノアーレは気軽に言った。  仲間を守ろうという意識がないのは、確かに虫だった。 「そもそも元いた世界は我等に優しくはなかった。仕方なく眷属を引き連れて新世界に逃げ延びたのだ。こちらは居心地もよく、我が子等も体が大きくなっていった」  そう言えば、村もここも確かに神界だった。 「我等は進化を続け、ついに最高の蜜を発見したのだ。故にあのメスは新たな母となるのだ。最高の蜜と腹、一挙両得だ。貴様のメスは我が貰おう。そしてついに!ゴキは進化の最終形を得るのだ!うわーい!ゴキは常にメスが必要なのだ!貴様にメスをNTRされる最初の栄誉をくれてやろう!いずれアースツーはゴキ人間で満ちる!ムチムチグラマーなゴキメスがいて、人類は堪えられるであろうか?!否!貴様は我が種の繁栄を指を咥えて見ているがいい!貴様のメスゴキは我が精子でボテるのだあああああ!寺だ!我は寺をほます!ふはははは!」  ジョナサンは置いてけぼりにされた。  しょうもないゴキ神の言いたいことを要約してみた。  ゴキ神降臨でアリエールに貞操の危機こんにちは。寺ほます展開なう。  寺ほますって何だああああああああああああああ?! 「あのゴキがああああああああああああ!ゴキの癖につけあがりやがってええええええええええ!アリエールううううううう!逃げろおおおおお!」  神界に置き去りにされたジョナサンの叫びは、誰にも届かなかった。  アリエールがヤバい。あの偽の俺には、オスのフェロモンの匂いがプンプンしていた。  呪いの先がアリエールのゴキ化ならもう。  どうする?どうしたら?  て言うか神に狙われるアリエールママエロすぎる。  大事に大事に育てたプリップリのおっぱいも尻も俺んだ!  アリエールううううううう!俺の愛人に手え出すんじゃねえええええ!アホンダラああああああああ!  あれ?この匂いは?アリエール?  大樹の陰からひょっこりフワフワの金髪が見えた。 「ロージーいいいいいいい!パパんところおいでええええ!」  ちっこい金髪幼児を思いきり抱き締めた。  うなじからは可愛い白薔薇(スノーグース)の匂いがした。 「ああロージー!どうやってここに?!」 「お母しゃま がぎゃあすって言っていて、後を追って来ましたのー。お父しゃま大好きですわー。ロージーお父しゃまと結婚しますのよー」  すると?ああまさか。ロージー。5歳でもう?もう転移魔法を? 「あのママが15歳で出来たのにな?そうか、この可愛い天才児め♡」  もう可愛くて、父親はほっぺにキスして言った。  わずか1歳で使っていたステラは別格の神童だが、5歳で転移出来る子は一万人に一人の才能だった。 「よし!これなら行ける!ロージー!ママ救出大作戦だ!」 「おー。でしゅわ」  ちっちゃな手を振り上げ、ローズプリンセスは言った。  もう悶え死にしそうなくらい可愛いかった。  
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