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換気扇を回す。ピースを一本取り出してリップを落とした唇で咥える。ジッポーのフリントを回した。一回で火がついた。こんなときに簡単に火がつくなんてやるせないな。そんな思いを煙と一緒に飲み込んだ。優衣さんは絨毯に力なく座ったままだった。私は自分で使った食器を泡立てたスポンジで洗ってかごに放り込んだ。バランタインが飲みたくなったが、今は切らしていた。煙を吐き出して、天井を見上げる。煙草の煙が染み付いて黄色くなった天井に裸電球の光が広がっていた。
ベッドに入るまで、優衣さんはそのあと一言も発しなかった。私は睡眠薬を飲んでから、私に背を向けて寝ている優衣さんの隣に入った。羽毛の掛け布団がやけに冷たく感じた。電気の消えた部屋の中はやけに静かだった。
「おやすみなさい。嫌な夢を見ませんように」
私は優衣さんに声をかけて、眠れない夜を過ごし始めようとした。
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