君の手のひら

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やっと少し涼しくなった夕暮れ。 今日の空は雲の額縁に囲まれた綺麗な桃色だ。 悠は交差点に立ち尽くし、それを見ていた。 もう夏も終わりだな、と独り言を呟く。「」 ブレザーの冬服にマフラーをしてる彼を誰も気に留めようとしない。子供達は家に早く帰りたくて信号が変わるのをうずうずしながら待ってるし、大人たちも同じだ。 そんな中に彼だけ立ち尽くしている。 姿も見えず、誰にも気に留められずにここにいるのは…ここで事故にあったからだ。 気がついたらここにいた。 不思議な事にここから動けない。 彼はいつから自分がここにいるのかわからずただ立ちすくしていた。
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