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窓越しの彼
タダノブは絶望していた。
突然の出来事に、頭がパニックになっており 今まで思い出せなかったが、妻と口論になったとき視線を感じ ふと外をみた。そこには窓越しに、清掃員らしき青年がこちらを見ていた。
確かに目があった。
その後妻ともみ合って誤って指してしまったのだ。
そうだ、あの青年に聞いてもらえば 事の真相が明らかになるハズだ!と、刑事にその話をした。
たが、青年は確かにいたが、部屋の中は見ていなかった、と聞かされた。
どうしようもない。状況がわたしを犯人だと言っている、と タダノブは 諦めた。
思えば諦めてばかり。妻と浮気について、金遣いについて、子供について……きちんと向き合って話をすべきだったのだ。
自分が撒いた種なのか……。
タダノブは
「これ以上話すことはありません」
と、これより先は黙秘した。
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