七月の昼中、君を刻む

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「バカナかよ。珍しいな、いつも無視するくせに」  相手が私だとわかって廉士が目を細める。  私は笑えない。意図していなかった行動のその後なんて、まだ何も考えられていない。  ただ分かっているのは、今、強烈に廉士を欲しているということだけ。 「廉士行こうぜー」  廉士を呼ぶ声の主達が私に気付き、怪訝そうな顔をする。私の噂はどの学年にも知れ渡っているのだ。  やはり私たちは交わるべきではない。私が関わると、廉士が迷惑する。  本心に抗う様に強く下唇を噛みしめて、その場から逃げ出そうと身体の重心を前に傾ける。  片足の不安定なバランスになった瞬間、今度は私が手首を掴まれて引き戻される。  思わず背中から倒れそうになったのを、廉士の身体に受け止められる。 「わりい! 俺今日用事あったんだわ、ほんとごめん! また連絡する!」  体勢を立て直して振り返ると、廉士が片手をあげて謝っている。私の手首はまだ解放されていない。  これは、どういう状況だ?  廉士の視線が戻ると大きな手から解放された。掴まれていたとろが、夏の暑さとは違う熱を帯びている。 「さ、帰るか」
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