七月の昼中、君を刻む

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 うちと違ってゴミや空き缶のない部屋はとても片付いて見えた。こんな綺麗な場所に私が踏み込んで良いのかとここまで来て戸惑う。 「あ、ごめん。汚くてひいた?」 「ううん、綺麗で驚いた」 「お世辞はいいよ。すぐ冷えると思うから適当に座って」  壁にもたれるようにして隅に座る。ベッドに腰かけた廉士の何か飲むかという問いかけに私が首を横に振ると、廉士はズボンの中からシャツを引っ張り出してパタパタと仰ぎながら立ち上がった。 「ちょっとシャワー浴びてきていい? 多分俺めっちゃ汗臭ぇし……」  恥ずかしそうに眉を寄せて私の前を通り過ぎようとする廉士のシャツの裾を引く。  シャワーなんて浴びなくていい。そのままの廉士がいい。 「どした?」  私の想いをはかりかねる様に廉士が尋ねる。  押し殺してきたこの気持ちも、私がいなくなることも、廉士に伝えるつもりはない。  廉士の明るい人生に、影になりそうな私の存在はすぐに忘れて欲しい。  だけど私は廉士を覚えていたい。  だからせめて私の身体には、忘れられない程鮮烈に、廉士の全てを刻み込んでしまいたいの。 「廉士、セックスしよう」
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