七月の昼中、君を刻む

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 身体を支えるために私の頭上に手をついた廉士に見下ろされる。蔑む様な、見たことのない鋭い視線が刺さる。  それでいい。廉士は私に思い入れなんて持たなくていい。することだけして、軽蔑して、一刻も早く忘れてくれればいい。 「いつもこんなことしてんの?」 「うん、だから大したことじゃない」 「大したことじゃないって。じゃあなんで俺なの?」 「ちょうどよかったから?」  視界が回る。後頭部に鈍い痛みを覚える。私、廉士に組み敷かれている。 「ふざけんな」 「ふざけてないよ」 「いい加減にしろ」 「私じゃ嫌?」  抱きたい女になれるとは思っていなかったけど、高校生男児に抱きたくないと言われると、それは結構ショックだな。 「そうじゃない!」  廉士が拳を振り上げたから反射的に目を瞑る。顔のすぐ横に拳は堕ちた。 「嘘ばっかついて、一体何を隠してるんだよ」 「全部本当。何も隠してなんかない」 「お前は昔から嘘つく時の癖があるんだよ」 「えっ」  ばれてしまった、と、焦って咄嗟に聞き返す。  私の様子に、やっぱりというように廉士が息を吐く。  やられた。こんな簡単な罠にひっかかってしまうなんて。
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