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はちり、と目が覚めて起床。
ぼんやりした頭で体を起こしながら瞼を擦ろうとして。でも、手は瞼には届かず何かに遮られた。
なんか視界もせま……。
「んんん、んー…? ……ぁ、ふは、なんだそっかあ」
理由がわかってふにゃふにゃな笑いが落ちた。俺、面着けたまま眠ってたんだった。外れてなくてよかった。
スマホを手に取れば時刻は六時半過ぎぐらいで、まだ寝てるみんなを避けながら覚束ない足のまま洗面所を目指す。
親友はともかく、二人が起きる前には身支度しとかないとさ。
ぬるい水で洗顔して、歯を磨いて、寝癖直して。この辺りで段々と目が覚めて制服を着る前にはやっと覚醒した。
普段は驚くことでもないと延々うとうとしちゃう完璧寝起きクソ悪人間。
あと滑舌が思ったように上手く回らないんだよね!
現時刻はピッタリ7時で徐々にみんな起きてきた。
「おはようございまーす!!」
「…朝っぱらからうるせえ」
「変わらず煩わしい声だね。おはよ」
「…………はよ…」
眉間に皺を寄せまくって少し掠れた声で唸る転入生クン。
朝から辛辣な言葉を浴びせてくる爽やかクン。
半分夢の中でも返事を返してくれる親友。
共通すんのは全員本気で寝起きかと疑うぐらい顔面がいいことぐらい。なんか全体的にキラキラエフェクトがかかってんだけど?
あと今日の親友は寝起きがいいミラクルデーっぽいね! 撮った。
「ア俺は今日早めに出るけど、君らは二日目のカレー食べてってね!」
胃がひっくり返るくらい美味しいから、て返事も待たずに部屋を出ればバッタリ。
「ああ、尋おはよう。今日当番だっけ」
「おはよ庶務サマー。そうだよ!」
にこやかに挨拶を交わして、代わり映えない部屋着を足先から頭まで一瞥して思う。
庶務サマの容姿にそぐわず落ち着いた色味のTシャツと膝丈半パンなんだよね。
個人的にはふわもこパジャマを着てみてほしい。春先だからまだいけるよ。
「…なんか変なこと考えてる?」
「それじゃ行ってくんね!!!」
「…行ってらっしゃい」
す、と冷たい視線を浴びせられる前に俺は飛び出すように部屋を出た。
人間観察の達人に嘘は通じなくても早々に逃げれば万事解決! 逃げるが勝ち!
ぴゅんっ、と慌ただしく部屋を出た俺がこれからどこへ向かうのか。
目的地はずばりみんな大好き温室だよ。
…と、その前に。
一階売店でおにぎり四つと麦茶、いちごミルク、おやつのモモパンマングミを買った。
当番の日の俺の朝食はいつも売店。具はツナマヨとしゃけを二個ずつ。
さてさて、あの子は今日も居るかな!
袋とリュックを引っさげて駆け足に寮を抜けた。
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