え?

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複数枚の書類を両手にさっきの頭ポンを思い返す。 風紀委員長サマて会長サマより少女漫画の正ヒーロー感あんね! 昭和七三分けにダサ眼鏡だって俺が昔教えた漫画知識を真に受けてる…し……待てよ、もしかしてありがちな偽りと変装…!? とある真実に辿りつきそうだった直前。角を曲がった時。 「んばッ…!!」 「ウワッッ!!」 前方から走って来ていた誰かと衝突して手のひらから書類が舞った。 一応支えるように受け止めたけど……ォォ…丈夫な体に定評あるけど普通に強打した背骨いたい…。 …あれ、コレ王道な曲がり角ドンからの床ドンてやつ? 思いつくと、俺の胸に顔を埋めてた誰かは鼻を抑えて顔を上げた。 「いって……オレは七瀬(ななせ) 彩羽(いろは)! たい焼きは二つ折りにして食う派だ! お前の名前も教えろ!」 クセMAXの自己紹介に俺は一瞬痛みを忘れた。たい焼き?? 四方八方に跳ねたふわふわ薄灰色の天パに前髪に埋もれて耳掛けぐらいしか見えない眼鏡。 こんだけ目立つ容姿と性格だったら記憶に残るだろうけどミジンコも見覚えない。 てことは少なくとも3年じゃないかな? あまりの異分子に一周まわって冷静に推察してると、上半分がほぼ髪で埋まった顔が迫ってきた。 「無視すんなよ。お前の名前教えろって!」 「うんうん、その前に退いてもらったら俺の背骨が助かるな〜〜」 天パクンのキャラの濃さに忘れてたけど今の体制をおさらいしてみよう! 床ドンとその追加要素に右手が顔の横にあり、もう左手は俺の無い胸をガッツリ。 はいアンラッキーすけべキツい!! 素直に退いてくれた天パくんに礼を言い、俺はパパっと軽く足を払って立ち上がった。 今日だけで一人の男に初角ドンと床ドンを奪われちゃったね。 「勿体つけずに早く名前教えろよ!」 「ちょっと混乱しちゃってたんダ……」 「どうして名前教えてくんないんだよ。オレらもう家族なんだから意地悪すんな!」 「俺が悪かったから勝手に関係性作らないでほしいな…!?」 今まで色んな性質持った人らと接してきたけども、俺のポンコツ分析的にこの子はかなりの独裁者タイプっぽい! 俺みたいなタイプはすぐ丸め込まれちゃう! 傷つけないように距離を置く方法は…と頭を悩ませ、頭上に電球マークが思い浮かんでから妙に哀愁漂わせて俯いた。 「…………俺、名前ないんだよね…」 今の俺を解説すると、裏ありげな酔狂な言葉を吐くモモパンマンの面を着けた長身の男。 大抵はパキってんのかってドン引いて距離を取ってくれるよね、な俺的最善処置法。俺だったら涙と鼻水垂らして逃げるよ。 勝負あり!
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