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「あちーーー…」
灼熱体育地獄を終えた俺は、更衣室の端に設置されたベンチにだらり寝っ転がって休息中。
大半の生徒が着替え終えてるけどまだ数人残ってるから待機中とも言う。
クーラーは効いててもやっぱ暑いし今すぐ着替えたいのが本音。なんだけど。
ほら、ね。完全事後。無罪なのにヤッちゃいました感が満載な痕がさ……!
それでも唯一の幸いは九十八の部屋から帰る途中誰とも鉢合わせなかったのと、庶務サマが友達の部屋に泊まりに行ってたことぐらい。
一週間分の幸運使った気分だよくそう…。
「はー……」
この痕いつ治るかな。普段首元全開だから現時点で奇異に思われちゃってんだよね。
親友なんか俺がくすぐったがりだから首元の緩い服着てんの知ってるし…健全な生徒会書記を謳ってる俺にとって多大なるダメージ!
そうデコに腕を乗っけてだらけてると、顔に影が落ちた。
「長袖ジャージなんか着てっからバテてんじゃねえか。脳みそ足りてねえのかよ」
…君だってもさ苦しいじゃんか。
俺はよっと体を起こして長い前髪に触れた。
「と言う君の口に僕は……いてっ」
「前髪に触れんな。オン眉にすんぞ」
「勘弁して俺JK並に前髪命だから!!」
チョップされた脳天をさすれば白のベストを着た爽やかクンから「普段よりもキモさに磨きがかかってるね」と一言。
ふふ、とか言って何だかんだ待ってくれてんの知………着替えたら早々に出てっちゃった。
しかも転入生クンも俺を放っぽって行きやがった。
「うっ、…うえっ…いいもん。別にいいもん。今日の昼食はしんゆーの手製弁当だもん…」
手短に着替えながら言ちても、心のハンカチを当て馬よろしく噛み締めるのは止められなかった。
どーせあの二人は仲良くコロッケ定食食うんだ!
でもいいよ、俺だって親友とバカップルみたくラブラブアーンしながら弁当食うから!
オエ。
想像して吐き気がした口元に手を当てた。
そんな日は一生こないし、きたとしても解釈違いの頂点だから俺は胃に穴を空けるしかない。
普通に考えてあの親友が誰かとイチャ…♡ イチャ…♡ してんの目撃した側は誰でもショック死するて。
あ、俺ならその前に二人の口に泣きながらモモパンぶち込むけどね。
やっくんだかやーくんだか呼ばれてる親友なんか見たくないよ!!
「…もどろ」
ヒュン。冷静になった俺は一旦教室に戻ってから体育館裏に向かった。
食欲は催した吐き気と共に失せたよ………。
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