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「学園七不思議の一つ、仮面の生徒はシャイボーイだって!? これは大スクープ間違いナシ!」
「落ち着いてパパラッチクン。俺は七不思議でもシャイでもないし公にしようとすんのやめて!」
「うはは、こんな面白い事実を心内に秘めとくとか勿体ないわ!!」
ネタ決まったぜいやっほーい! じゃないよやめろ。
顔の熱も冷めてきたとこで、この歩く暴露メガホンをどう口止めしようかと頭を悩ませる。
口止めや脅しとか経験ないから妙案が思い浮かばないヨ…。
平たく言うとそのネタに釣り合った対価か提案を差し出さなきゃいけないんだよね。
言って俺の"恥ずかしがり屋な男の子☆"的なネタはレア度で考えれば1か1.5程度。
つまり。
「わかった。黙っててくれたら肩もみしてあげる」
「ナメてんの?」
「こっっわ」
一瞬で真顔になって後ずさったけど、俺の肩もみはプロ並過ぎてもはやゴットハンドだってじっちゃのお墨付きだよ。
それなのに釣り合わないのかと少しムッと首を後ろに向けると、親友は軽く左上を見てから「そいつのマッサージ効くよ」と言ってくれた。好!!
「ほら、親友もこう言ってんだよ。口止め料には十分でしょ!」
「えー…」
「そもそも今まで盗撮を鵜呑みにしてきてやったんだから口止めされてくれるよね?」
「エー…」
腑抜けた声で俺から視線を逸らすパパラッチクン。
穏便に済ませたいってのに何が望みだってのさ。……てかほんとピンポイントで何故にここに来たんだろ。
ため息を呑んでしゃがめば「そうだ!」と決していい思いつきではなさそうな声。
「黙っとくからお前を頂戴よ! …あ、それだと語弊があるな。目的達成まで俺の忠犬ワンコになって?」
「わん……て、犬…? 俺にアンタの犬兼パシリになれって? ヤダヤダヤダ絶対あんなことやそんなことするつもりっしょ。女性向けヌード写真とか撮るんでしょ!」
「しないし撮らないよ」
「えっそう? じゃあ…───ぅぐえッ!」
じゃあいいかな? と流されかけると、強めの力でシャツの襟を掴まれて強制的に立たされた。
一体誰に、なんて野暮なことは言えない。
「お前さ、本当に懲りない奴だな」
「んげぇ〜…」
声色は少し不機嫌そうなんだけど、脳天気な俺は親友の低めの声チョー最高だとしか思えない。
俺限定バイノーラル作ってうちわ振っちゃう!
冗談抜きに誕プレは親友のバイノーラルボイスがいいな、と完全に立ち上がると手を離されてしまって少し残念。
俺ね、苦しいのも痛いのもヤダけど親友にされんならバッチコ……これ特殊性癖持ってるって勘違いされそ。前言撤回で!!
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