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「ところで君は誰かな」
「誰って冗談キツ…エなにその顔。ほんとに俺の名前すら……まってまって俺ら曲がりなりにもクラスメイトだよね? ちょ、ねえ!」
ホス狂並に詰め寄ったって手応えはなし。
受けた落雷と共に俺はよろりと掴んでた胸ぐらをパッと離した。
「プッ」
「あーあ出会って一日も経ってないのに笑われちゃったもうムリ病んだリスカしよ」
「どうだっていいから昼飯。腹減った」
結構ガチ凹みしてる俺に親友は労りの言葉一つなく、なんなら俺のパーカーのフードを雑に掴んで学食まで引きずった。
せめて今日のワンコたちのような扱いを希望……。
そしてずられて到着したのは今日も今日とて賑やかで絢爛豪華なカフェテラスと2階付き学食。
で。実は学食に到着してから少し時間が経過してるんだけど、目の前には会話が弾んでる転入生クンと爽やかクン。
隣には昼食を美味しそうに食べる親友。可愛いね!
「ぅぅ…うっ……」
さてここで本題。
半泣きの俺の前にダークマター。
ダークマター。
学食に来てもへそ曲げてたら親友に昼食を決められた結果でね!!!
くうくう鳴ってた腹もこの時ばかりは鳴り止んだよ。
この……なんての? ルーの箇所のみドス黒いカレーもどきみたいなコレ。お初にお目にかかるけど噂の裏メだろうね。
料理長と交友を深めない頼めないと現れないっていう裏メニューの。
「…おお……」
すん、とひとまず嗅いでみればタイヤを煮詰めたような臭いがして涙が止まった。
つまりゴムが溶けたような臭い。
…どうしてコレが食品として売りに出されてんだろう。
まさか俺がビッグウェーブにでも乗り遅れてるのかな? なわけあるか。
「ね親友、遠回しな自殺教唆だったりする?」
「食っても死にはしないだろ。お前が作る料理とソックリだし」
「おっけ自殺教唆!」
慈悲なき親友の言葉に確信を得てからカレーもどきに視線を落としてスプーンを手にとった。
この震えは武者震いってやつだし…ほら、いくら圧倒的危険物でも臭いがタイヤだろうと出されたご飯を一口も食べないのはマナー違反だからね。
赤信号渡るのと同レベで良くないこと!
「ソレとそっくり……それは機会があれば見てみたいね。口に運ぶかは別として」
「ま、食えなくともネタぐらいにはなんじゃねえの」
「…なんだろう。君らさ、さっきから俺への対応にまち針100本ぐらい刺してない? 俺ら今日初めて話したよね?」
無視。
隣からの「いじり甲斐がありすぎるからな」胸ぐら掴んでガクガク案件は聞こえないふりをした。
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