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「おっと、今日は私たちがビリでしたか」 「別に食べる分にはいいけどカス零さないでよ。片付けるの僕なんだから」 クッキーのおすわけを貰って、会計サマと並んでサクサクしてたら残りの二人も顔を出してきた。 このクッキー芳醇なバターの香りがして美味いね! 知らんけど。 「総隊長からの贈り物だ。お前らの分も残してあるから机から勝手に取れ」 「ふーん総隊長…。妙に胡散臭いけど毎度僕ら好みのもの寄越してくるよね」 「確かいつの日か紅茶の茶葉も頂きましたよね。一昨日私が持ってきたジャムと合わせてロシアンティーでも飲む?」 可愛らしく提案された話を断った役員は一人も居なくて、その様子に満足そうに笑顔を浮かべた副会長サマは庶務サマを連れて給湯室に入ってった。かわち〜!! あ、その間も俺と会計サマは延々クッキーサクサクしてたから首を縦に振って意思表示した。 さてさて、総隊長クンへのお返しを考えなきゃな。 「お前らはいつまでサクサクしてんだ。森のリスか」 「唯我独尊野郎の口からなんてメルヘンチック! 今回のお返しを考えてたらついつい」 「ひーくんってお返しとか遠慮されてるのにいつも乗り込んで行くよね」 「んふふなーに言ってんすか? 俺にだけ毎秒のごとく京都風お返し催促メールがあってね…」 一度も頼んでないのに贈ってきてるの総隊長クンでしょ、って言っちゃったことあるけど『隊員過半数の要望で。…てか悪態つくその口で食ってるんですよね?』なんて詰められてあえなく泣いた。ざこ。 思い出して密かに泣いてればポン、お会長サマに肩に手を置かれた。一見労わるように見えるその行為は別の意図を持ってる。 どさくさにクッキーのカス付けようとしてくんなよな。 「後輩からもナメられるその性格を早く直せ。生徒会書記として示しがつかないからな」 「君こそ人で汚れた手を拭こうとすんのやめてみない?」 「質のいい布巾かと思ったわ」 「アンタの夢小説書いてやるからなァ…」 ヘ、今のうち鼻水出るほど鼻で笑っときな。 そのうち柳糸(りゅうし)学園裏ネットワークに載せてやるからな! 会長サマなんか夢男子の餌食になってしまえ! …でもまてよ、ダメージを与えるならBL方面の方がいいのかなと真剣に悩めば給湯室から二人が帰ってきた。 手には紅茶セットと小皿、ベリー類のジャムが乗っかったトレー。 「では、今年の新歓で行うレクリエーション内容の振り返りをしましょうか」 応接席にカップと小皿が用意され、俺たちも席を移動して革製のソファに腰を下ろした。 んわ〜……なんかよくわかんないけど綺麗! さすがだね!
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