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煌びやかなお茶菓子に感心しつつ、副会長サマから渡された紙に俺はいち早く目を落とした。
振り返りだって言ってたけど俺だけルールを一項目も知らないからね。
まずは……制限時間は一限から三限丸々を使っての約3時間。各生徒は汚れても良い服装と白Tシャツを着用すること。
ま、きっとここの生徒らは気にせず体操服着て来そ〜。
「ちょっと雅、紅茶の中に直接ジャムを入れるのは間違いですよ」
「そうなんだ。でも甘くて美味しければ何でもいいじゃん?」
「あ、僕にもクッキー頂戴」
支給される物は電動ウォーターガンとインク。インクの色は学年事に赤、青、黒って別れてんだ。
お、もしインクが無くなれば見廻りの風紀から貰える仕組み!
「ん、このクッキー美味しいね。輝先輩とかこのラムレーズンのバターサンド好きそう」
「ああ、美味すぎて先に全て食べてしまった。お前のを貰ってもいいか? ……冗談だから軽蔑の目で見るな」
「内容の振り返りと言っても見直す箇所は特にないけどね。けれど気になる点があればいつでも挙げてください」
へえ、ほお。何かしらの危機に晒された時に即救助要請を出せるようGPS発信機が内蔵されてるんだ。
しかもしかも、その場で一定時間留まってれば大事を取って風紀が確認に来るらしい。暗に怠惰な生徒達も見逃さないって。
「そうそう! さっきからひーくんが静かだから言うんだけど、今日はシャツのボタン全部閉じてて気になってるんだあ」
「確かに……情事の痕でも隠しているんですか? それにピアスもいつの間にやら」
「まさか。何がなんでも顔を隠すコイツが誰とヤんだ? 仮面を着けたままなワケにもいかないだろ」
「昨日僕、友達の部屋に泊まりに行ってたからワンチャンあるかも。尋って交友関係意外と謎だし」
「あのひーくんもセフレいたってこと? 候補なら親衛隊の子が有力だけど想像出来ないねえ」
ほへ〜…万が一不正がないようにトリガーを引くのと同時録画してくれる優れもの。そして録画した動画はAI判断を通して風紀の元へ届くらしい。
「ひーくんって童貞じゃなかったの? ねーねー」
「何だって俺らはこんな奴に会計を任しているんだろうな」
「俺ら、ではなく会計と書記はお前が指名したんでしょう。私を巻き込むな」
ガックンガックン揺さぶられて紙を持つ腕も視界も揺れる揺れる。やめて〜。
「無言ってことはもしかして非処女にでもなっちゃったり?」
「俺元々非処女すよ…───っえ、これが景品とか嘘でしょ!?」
質問に答えれば大人しくなると思ってたけど、想像よりも静かになってくれた生徒会室と止まった揺さぶり。
最後の項目にあった景品に俺は悲鳴をあげた。
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