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「ゴールド特典項目の〖役員生徒の内一人を指名しお願い事できる券〗とかどういうことすか!!」
ご丁寧に〖※常識範囲内で一つのみ(揉めた場合は多数決)〗とか書いてあるけどさ…!!
抗議する為にテーブルを叩いて立ち上がって……な、なんだろ、整った顔たちが鳩が豆鉄砲食らったような。
………あれ、俺いま何つった?
さらりと目線のみで一瞥すれば大小なりとも驚き。と、多分あらぬ誤解をしてそうな顔が二つ。
この間約一秒未満。ふは、と軽く吹き出して静かな空間に笑い声を落とした。
「いやいや揃ってなにアホ面してんのさ、普通に冗談すよ!」
上げていた腰をソファに直せば愕然と固まってた空気がやんわり解けて、会計サマは「なんだ〜つまんないのぉ」ともたれかかってきて、会長サマは重めのため息と共に後頭部をかいた。
庶務サマは気にせずクッキー食べてるけど、副会長サマは怪訝な目を向けてきてる。
だからってどーというわけもない! きっと根掘り葉掘り訊いてこないだろうから実質危機は去ったよ。
ほ、と心の中の小さくてかわいい俺が汗を拭った矢先。
「あれ…何だか心音早いね。嘘ついてるでしょ?」
「緩いのは貞操概念だけにしてえ…」
誤魔化しようもなく完璧痛くなった二つの視線に。余計なことばっか口走る彼に小さくてかわいい俺は泣いた。
元は気を抜いてた自業自得とかそんな正論はいいから。そもそも俺の下話なんかどうだっていいじゃんかよ!
心の中でいくらぶーたれても刺すような目に白旗を上げるしかなかった。
俺の自尊心が擦れようが勘違いはこじれる前に即刻正そう。じゃなきゃ視線に滅多刺しで臨終。
「も゛ー〜〜……俺が卒業したのは…中学の時で君らの思い違いだから安心してよ。あとこの際だから言うけど俺ドーテーじゃないかんね!」
君ら、とナルシストとメンヘラに向けて。
あからさまな態度を目にして俺のちっちゃなプライド丸つぶれだよ…。
肩を竦めれば興味大ありげな顔が傍にきた。
「えー中学って確か地元だって言ってたよね。共学で同性の恋人作ってたの?」
「ヤッべいきなりズカズカ訊いてくんじゃんこのチャラ男……同性の恋人は居たことないすよ。そもそも今も昔も恋愛対象は女の子なんで」
宣言すれば庶務サマは「その態度で?」と疑問げに片眉を上げた。
どの態度かイマイチわかんないけど、誰かを勘違いさせるようなことはしてないよ。
前提に変な面着けたやつに迫られたって恋しないでしょ。あと俺とそんなムードになるやつ居ないし!
……いやなに「ガチで頼めば抱いてくれそうランキング一位ですもんね」って。
今すぐそのゴミみたいなランキング廃止しよ。
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