17/17
前へ
/126ページ
次へ
「昨日は随分と楽しんだようだな奇戸。仮面を着けたままシたのか?」 「生徒会トップが非常識ムッツリとか終わってんね。好奇心満たされたんなら離して〜〜!」 沈んだ声で頼めば俺の上にいる美形は楽しそうに笑った。シャー芯全部折るからね。 「名探偵華乃雅は分かっちゃった。ピアスもその子に開けてもらったんでしょ?」 「はいはいそーです離してください名探偵サマー」 一応平常装ってるけど居た堪れないからねコレ。 ほぼ毎日顔を見合わせる人間にそーゆーのを知られる恥ってわかる? わかんないか……。 こっから自然に抜け出すには頭突き…はダメ。蹴り…もダメ。肩甲骨…は届かな……くま!! 光の速さで数々の策を考えて、くまと対峙した時の迷信が過ぎると耳の縁をなぞられた。 「耳も首も赤〜い」 きっと俺に痴漢の霊でも取り憑いてるね。絶対に取り憑いちゃってるわコレ。 寮に帰ったら真っ白になるまで伯方の塩巻き散らそう!! 固く決意し、俺は人形の如く抵抗すんのもやめてお口も縫い付けた。 反応を見せなきゃくまならぬチャラ男に襲われないかなって。 や、でも普通にバレ……。 「残念、無反応になっちゃったあ」 しめた! コイツアホだ! 考え通りに緩く笑ったまま退いた会計サマ。 今すぐにでも笑い出しそうな喉を閉じ、俺も嬉々として起き上がった矢先。 腰に腕を回されて引き寄せられた。 「ぅ、わ」 「そんなの拒絶どころか据え膳だよ」 開いた首元に軽いリップ音がし、咄嗟に抑えてバッ! と横を向いた。そこには首を少し傾げ、紺色の髪を垂らし微笑む会計サマ。 コッ………。 コココココ、コイツ俺の首にキスしやがった!!!! 「…黙って見ていたが、どれだけ見境なくともソイツに手を出せばいよいよ手遅れだぞ」 「ん〜顔が見えないってのも新鮮かなって思って。初めてじゃないみたいだし?」 「奇戸を抱くぐらいなら動物にしとけ」 「やだよ俺はひーくんがいいの!」 「勝手に話進めてるけど戯れ感覚で俺を抱こうとすんのやめない…?」 ゲンナリとボタンを閉じきって、言い合う二人を他所に俺は紅茶で喉を潤わした。 七不思議の件を訊こうと思ってたけど、期限は決められてなかったしまた今度にしよう。 今は陽キャの距離感エラー戯れのせいで疲労がえげつない……! 「なあに輝くん。ひーくんにほの字なの?」 「そんなことは複卵黄並にありえないな」 「確率たっか〜!」 「三つ子のな」 「ひっく〜!」 楽しげに笑う会計サマと優雅に紅茶を飲む会長サマはなかなかに絵になるね。絵面がハロー少女漫画! 会長サマにはあとでツラ貸してもらおう。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1573人が本棚に入れています
本棚に追加