料理

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「でもさあ、書類に追われるか七瀬くんの監視役の二択だったらどっちが良かった?」 「地獄みたいな二択すね! もち前者」 みんな大好き学食。2階席は面倒いよね、てことで1階の一般生徒たちに混じって席に着いてる俺らの前には出汁の利いた暖かい温玉おうどん。 数日ぶりにマトモな昼食にありつけた気がするよ…。胃を引き換えにしたらあと五杯は余裕でいけちゃうね! 「ねー俺も。監視してくれてるあの二人には感謝だなあ」 それにしても喉越しのいい麺のおかげでちゅるちゅる進む。うましかて! 前方では表情朗らかなぱやぱや顔が独りでに船をこき始めたけど、気にせず麺を啜ってたらついに会計サマは顔面から崩れ落ちた。 受け身なくドシャアッ……! とね。 うどんダイブは俺が全力で阻止した。 「あ、危な………ちょ会計サマ! 今起きなきゃ格好のエサだよ! 介護にかこつけて連れ去られちゃうよ!」 「……ハ…ッ、昨日遊び過ぎちゃって寝不足でねえ…」 「一生寝てな!」 今の一瞬で垂れたよだれを拭って。へら、と笑ったチャラ男クンに節操て単語は存在してないらしい。 やれやれだぜ…と海外リアクションをしながら完食し、面を戻してた俺は忍び寄る魔の手に気付かなかった。 「そんなひどいこと言う人はこうだ〜!」 「うひっ…!! ちょ、腰触んだはははは!! くっくすぐっぶはははは!!」 「…。」 やや白い目で脇腹付近に回ってた両手は外されて、会計サマは無言で席に戻った。 結果的には良かったけど『…色気ないね』な目を向けられて納得いく理由を求めたいな。 くすぐられてアンアン言う方がどうかしてない?? と、遊びもほどほどに。 斜め左あたりの席で会長サマと副会長サマが今にも触発しそうな天パクンと転入生クンを抑えてるような。 しかも前髪に隠されてるはずなのに二人と目が合っちゃったような。 「なんか七瀬くん似の子が近付いて来てるねえ」 「ドッペルじゃなくて天パクンすよ」 「モモ太、コレ飲めよ!」 「モモ太誰?」 「俺」 ずい、と近寄って来た天パクンに差し出されたのは茶色の液体。多分ココア。 今の季節にはピッタリだけどなんで…? 困惑してれば会計サマも同じ物を渡されてた。 「飲め!」 「拒否権は?」 「ない」 「人権は?」 「ない」 「おあ…」 何気なく訊いたら人権無いなった…。 チラ、と見た先で会計サマと目がかち合って感じるシンパシー。その目は「これ飲んだら一緒に逃げよう」て言ってる。多分。 ごめんほんとはシンパシー何も感じてない……。 でも何となしに頷きあったあと、俺らは一思いにココアを呷った。 「オェェェェェ!!!!」 「わあ! 美味し〜!」 「だろ!?」
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