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「オレと料理長が協力して作った激ウマココアだ!」
「オエエエッ…どっ、どう足掻いても泥水だよね? ジャリジャリすッゥ…ん、らけろ?」
「雨上がりの庭で転んだ時の味だね〜!」
「ソレ泥オエッ、!」
手拭きで口元を拭いながらも呂律回んない、震え止まんない、悪寒止まんない、の三拍子。
この子らの味覚なら余裕でサバイバル生き抜けんね!
「ハァ…ッウ、……それにしても、な、なんで料理長とコラボしてんの?」
「友達になったんださっき。連絡先も交換したぞ!」
泥水か疲労か内容か泥水か。面やテーブルを拭いていた体がふら、と寄ろめく。
慌てて踏ん張ると少し苛立ってる天パクンが代わりにテーブルを拭いてくれた。
「スゲー美味く作れたのにアイツがクソ不味いとか言ってきてよ…ひでえだろ?」
「母胎に置いてきた味覚取ってきな。ありがとねちゅ」
「マタニティブルーか?」
情緒が副会長サマ化するぐらいには泥水だし、体内が拒否反応起こしすぎて胃が都内引きずり回しコースみたいになってるよ。なに言ってんの俺。
「でもアイツらは美味いって言ってたけどな!」
指差した方向にメンヘラ&ナルシスト。
見やれば青い顔でグッと親指を立てられた。
……近くで見張るにはホシと仲良くした方がいいってこと心得てたみたいだね。男気ジャンケンで勝ったがばかりに…!
「そうだ、オレ明日の土曜に蓬とサ、サ…サタンアンダギー作る約束してんだよ!」
「そっか悪魔の王作ろうとすんのはやめようね」
「でさ、サンダーアンザシーを二人で作るより大人数で作った方が楽しいと思うんだよ!」
がっちり手首を引かれて強制連行される不憫な俺。泥水を大絶賛してた会計サマは忽然と姿を消していた。
堂々裏切りか貴様…!! 見渡すと途中でまた寝落ちたとこを親衛隊の子に介護されていて。
俺の親衛隊は『は? それぐらい自分でどうにかしなよ』の圧倒的スパルタだってのにね。
……なんで俺の親衛隊やってんだろあの子たち…。
だとか若干しょげかければ魔の席に到着しちゃった。
「モモ太も手伝えよ。どっちが美味く作れるか勝負するんだ!」
「ええ、やだよ…」
「そか。鏡宮達は来てくれるよな?」
相変わらず感情の起伏が謎だけど二人がその話に乗るわけがないんだよね。
あくまで様子見前提の今週のみの監視で、休日まで監視につく義理はないからね!
「これでも俺は多忙だからな。唐突に言われて二つ返事で答えるのは難儀な話だ」
「絶対楽しいから来いよ!」
「いいぞ」
「ハ? 仮にも君は生徒会会長でしょう? そんな肩書きを持つお前が一般生徒と休日に料理だなんて…」
「久戸瀬も来いよ!」
「いいですよ」
俺は静かに顔を覆った。
渋るふりして即落ち2コマよろしくコロッと頷きやがったんだけど…。コイツら絶対監視役の数日間少し楽しんでたでしょ良かったね!
ホールドアップした。
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