料理

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「いい感じに生地が仕上がったな」 「実はこれで20分かけてんすよね〜。あ、こら、突っついて遊ばんで」 「なあモモ、奇戸? 尋? モモ太! 次はどうすんだ?」 名前も混ぜちゃってる…。 謎に微笑ましく思いながら丸めて揚げるだけだって伝えれば、天パクンはえくぼを作って笑った。 それから各自手にオリーブオイルを塗ってこねこね、こねこね、こねこね。 仲良く並んでこねこね、こねこね、こねこね…。 …。 何故か丸め作業の時だけは全員真面目に黙々丸め、それほど時間をかけずに全ての生地を丸め終えた。 天パクンは三角だし会長サマは爆弾だし俺は歪だけどヨシ。誰一人まともに丸も作れない! そしてこねてる間に少しずつ油をIHで熱していたから良い感じ。今の温度はレシピ通り160℃前後で今がチャンス。 なんだけど。 「…これ誰が入れんの? 油跳ねてきたら怖くない? ここは男前な会長サマいっちゃいます?」 「なに言ってんだ。油跳ねから顔面守る為の仮面だろ?」 「俺三年前から油跳ねに怯えて面着けてたんだ…」 お前がやれよ〜いやいやお前が〜って小突き合ってた中。不意に天パクンが俺らの前を横切った。 二人して目で追えば何やら調理室端の位置で華麗にフリースローポーズ。 …? 「こっから投げれば大丈夫だろ。行くぞー!」 「ッッワァァァァァァ!!?!!?」 「はは、流石はあの学園理事長の孫」 「ダメダメダメそれはアウトだって!!! 揚げ物でフリースロー決めようとするバカがどこに居んの!!?」 「今まさにここに居たな」 「冷静にツッコんでないで会長サマも止めてくださいよ!! ってあ、あ、アーーー!!!」 「だからうっせえって!」 天パ野郎の顎が外れる奇行に一悶着ありつつ。 俺が天パクンを羽交い締めにしてる間に会長サマは初心者のくせしてポンポコ揚げてくれた。 跳ねる油に怯えて真面目顔になってるだけなのに、思わず俺の胸はドキドキときめいた………。 と思ったけどそれは俺の高鳴りじゃなくて、扉の向こうで生徒が悶え苦しんでる音だった。 「なあコレもう食っていいか? 全部」 「勝負はどうしたの。食べる前にお片付けしようね〜」 「揚げてやったんだからお前らで片付けろ」 「いいから薄力粉マンも一緒に片付けますよ」 ドチャッ…と有り得ないほど汚れた全てをか片してから全員で二つの皿を囲んだ。 あと、そう。俺らがてんやわんやしてる間に転入生クンたちは優雅にスマホオセロで暇潰してたみたい。全勝引き分けだってさ。
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