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「なあ奇戸、サンダーアンバギー食わないのか? なんで仮面ずっと着けてんだよ」
「いや、面は……お、指摘してきたのって天パクンが初かも知んない」
「奇戸の初めて俺が貰ったってことか!」
「ほんとに他に適切な言葉なかった?」
そうそう、奇異の目で見てきたり避けられたりはされたけど案外誰も触れてこないんだよね。
ありがた過ぎて入学当初はもう毎日面の裏が大洪水で……。
「嗚咽すんなよ。あとずっと思ってたけど俺は七瀬彩羽って名前で天パクンじゃないぞ!」
「知ってる知ってる。あんな衝撃的な初対面で忘れるはずないよね」
角ドン床ドン女の子であればラッキースケベ、の詰め合わせを雑にクリアしてからの自己紹介を忘れるのは至難の技。たい焼き二つ折りて……。
「んーとね…面着けてるのは素顔のまま目が合うと照れ臭いからで、名前で呼ばないのも照れ臭いからなんだよね!」
てれっ、と恥ずかしげに言えば興味が失せたみたいで食べる手を再開し始めた。
卍固め仕掛けていいかな?
あ、会長サマたちは一足早く食べたり審査してて。思ってたよりデカすぎて断念してた俺に彼が話しかけてきたってわけ。
「面やあだ名はそういう理由だったんだ。…君、この学園に入学するまでどう暮らしてきたんです?」
「ふ、ふふっ副会長サマ…!? 俺の話聞いててくれてたんすか…!? 好きっ…!!」
「キッショいので纏わりつかないでください」
性質がかまちょな俺。
構いにきてくれた副会長サマに嬉しくなって抱き着けば、蔑む目と血筋を感じる暴言のダブルパンチ食らっちゃった。血反吐!
「……つまり、尋は目を閉じながらであれば面を外せるということ?」
「んえ? えまあうん、あんまし外したくないすけどね」
質問の意図がわかんなくても事実だし頷くと、副会長サマはスーーーとエア抜きをした。
「そういうことはサッサと伝えとけ、と言ったとして君は首を傾げるんでしょうね」
「ぁえ、なんか怒ってる? なんで? ごめんね?」
「黙れ。ここで謝罪されてもお前への気遣いは返ってきませんから」
なんか拗ねてる。
とりあえず転入生クン作の方をフォークに刺して渡すと、ムスくれた表情でも受け取って食べてくれた。
んで、用意していたリンゴジャムとかでアレンジして楽しみ始めた。
うんうん、機嫌が直ったみたいで一安心だけどよくもまあリンゴ嫌いな俺の前で見せつけるように食うねコイツ。
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