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「一旦話を聞、」
「ウァァァァ!! 聞きたくない!! やっぱ聞きたくない喋んな!! お前殺して俺も死んでやッブエッッ!!」
遠慮なく親友の黒Tの胸ぐらを両手で掴めば、親友も遠慮なく俺の横っ面を手のひらで押し返してきた。
おかげさまで首がゴキって鈍い音立てて動揺が少し落ち着いたよ。いたい…。
「ひーん」
「ひーんすんな聞け」
「やだ〜俺だけの親友でいてよ〜」
「ムリ」
「あああああ〜〜〜!!」
「引っ付くな」
べしょっと泣いて抱き着くとフード掴まれて離された。さっきから俺のパーカーいいように扱い過ぎ〜。
生まれてこの方17年、今年18年。親友とはかれこれもう小学生の頃からの付き合いで…。
襟足付近がくすぐったいってのも、中学の頃は女の子取っかえ引っ変えしてたことも、好みのアーンな本も、俺の泣き顔が好きだってのも知ってる。
正しく魂のソウルメイト! 魂要らなかったな。
そんな俺の親友がどこぞの馬の骨かも知らないやつとリア充してる場面に出くわしたら相手の口ん中に歯形取りぶっこんでショックで爆死する。
いや、恋人作んなって言ってるわけじゃないけどね!! 言ってるか!!
「だから人の話聞けって。万喜に付けられたんだよ、お前の反応を見たいつって」
…まき、薪…万喜………委員長クン…?
狭くなってた視野を廊下の先に広げ、俺は取り乱したことを盛大に後悔した。
俺らにスマホを向けてニヤニヤ破顔してる秀麗な男こと万喜 伊弦。
お腐れになってる人種で自分の欲望の為ならどこまで突っ走れる子だし、出会って数秒で面を外して見事に俺をフリーズさせた強者でもある。
「サーターアンダギー持って来たよ!」
俺は全てなかったことにした。
《…───やだ〜俺だけの親友でいてよ〜》
「アー…ひろやえエグ最高すぎ。アでもあえてのやえひろもリバも可。公式の腐営業じゃない絡みが地雷で傷んだ心の一番の特効薬だよやっぱ」
かったんだけど無理そう。
あの子今回も動画撮ってたってさ。
今回もって事は前回もあったってことで。
前回は親友のベッドにゴムとぺぺが置いてる悪質ドッキリで俺はもう今回同様に取り乱しまくった。
だって遊びに行く約束しといてそんなん用意さてたらも、もしかしてェ…!? てなるでしょ。
そん時も動画撮影してた委員長クンは後々俺の肩に腕を回して無理やり鑑賞させてきた。
そりゃマイクロブタのプゥを半ギレ親友が晩飯に持って来るのも是非ないよ。親友からしたら不名誉極まりないもんね!
それより動画再生繰り返すの止めてくんないかな。
壁に頭打ちつける奇行には走りたくないよ。
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