料理

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「万喜」 「あーハイハイ、奇戸との二人きりの時間邪魔されたくないってね。りょ」 「ちげえわ」 「照れんなよ」 ニヤケ面で親友を小突くと、委員長クンは気分良さげに足元に置いていた紙袋を持ち、俺の肩を去り際にぽんして「イイもん見せてくれてどーも」なんて痛快スマイルを浮かべて部屋を出てった。 そんなんでもろもろ許されると思ってんのかな。 「イケメン…♡」 「アホか」 「あいて」 シバかれた後頭部をさすって、俺は「おじゃましまーす」と手を洗ってから親友の部屋に入った。 役員部屋とは少し構造が違うけど、501号室にもよく入り浸ってるから第二の部屋並に熟知してるよ。 委員長クンの部屋の本棚にある背表紙は全てお堅い系タイトルだけど実は全て3L本だってのもね! それと…。 ベッドの上のふかふか布団を剥いで、そこにあった物に口角が緩んだ。 俺が昔にUFOキャッチャーで一発取りした丸型のひよこ抱き枕を親友は今も使ってんのも! 「んふっふひひ」 我ながら気持ち悪い笑い声だけど、小さなデレを前にしちゃったらね。 ひよこの抱き枕。ピヨ丸をまた布団で隠して、面も取って俺は大人しく親友が戻って来るまで待機した。 ピヨ丸の存在を俺が知らないと思ってるのもまたアイラブポイント! 「はい、茶」 「やっぱ麦茶に限るよね〜」 「俺は水派」 「おれもそっちすき」 少ししてから2L麦茶と重ねたコップを持ってきた親友は途端にバカになった俺を笑って、向かいに腰を下ろしてから小袋に目をやった。 「なにこの雑な包装」 「まずそこ? 本当は可愛くリボンにしてたんだけどドジっ子クンと途中で会ってさ」 「…史川か、アイツ腹壊してなかった?」 「訊きながら食べようとしてくれてんの優しいかよ。俺と会長サマと天パクンの愛の結晶だよ!」 「食欲失せるから黙れ」 言いつつ、袋からサーターアンダギーを取り出した親友は躊躇いもせずかぶりついた。 「…あ、美味い」 ここで豆知識。 お世辞が言えないとも言えっけど、親友は嘘をつかない子なので不味いは不味い。美味いは美味いって相手の反応うんぬん関係なしにドストレートに言う人間なんだよね。 つまりこの反応ほんとに美味しかったんだって…!!!! 両手を口に当てて乙女ポーズで大感激な俺の前で親友はもう二個目。それ俺のだけどモキュモキュ食いでるの愛おしすぎて写真撮った。
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