料理

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「よし…親友親友、それ実は俺の分なんだよね」 「へー」 「食べ続けんのかよ」 実は、と言えば余裕で半分一気に食いやがった。 食いつきいいの嬉しい…じゃないって! 何だって俺は親友相手だとチョロくなっちゃう。多分親友の顔面に弱いのかな。 思えば日に日に、てか会う度に好きを更新しちゃってるから絆されるのも無理はないか! 言い訳がましく正当化してたら残り一口分になってて。 横取りみたいで申し訳なく思いつつ、俺は身を乗り出して手首を掴んだ。 「あ」 「む、……まい!」 「横取りすんな。あと指まで食ってる」 どーりで噛めないんだ。 もご、とサーターアンダギーだけを上手く口に入れて離れようとすると、またフード部分を掴まれて引き寄せられた。 それから咀嚼してる口の端に柔らかい感触。ふにふに。 「カス付いてた」 「そんな会長サマみたいなことしてた? あ、ティッシュ」 空になった袋を捨てるついでに傍にあったウッドケース付きティッシュを渡して、俺はコップに麦茶を注ぎながら「そうだ!」と声を上げた。 「首のキスマ! 委員長クンが親友の首にキスマ付けたの? はい麦茶」 「そうだったら今頃アイツの顔面凹んでる。ありがと」 「いーえ、そんじゃどうやって付けられたのさ。あと悪質ドッキリに加担するなよな」 自分の麦茶も注いで飲めば「ソファで寝てたらストローで」と襲われた事実を明らかにしてくれた。 ストローへのツッコミ余裕はない。 それよりも俺は決めた。今決めた。 当分夢小説もBL小説も書かないし、近いうちに委員長クンにも徹底的なる悪質ドッキリしかけてメッチョンメチョンにしてやる! 親友の寝込みを襲うだなんて俺が連続殺人鬼だったら次のターゲットあの子だよ。 「親友…俺が仇うってあげるからねっ……!」 「もう一発ぶん殴ってるけど」 「てかさっき何気に俺にちゅーした?」 「口の端な。嫌がらせのつもりでしたけど無反応は想像してなかった」 「んや、あまりに自然で思考の隅でゆっくり考えてた。あと俺、親友になら……ぽっ」 「草」 「花」 稀に顔を出してくるこの遊び人感にノックアウトされてるネコチャンたちが大多数いるのコイツ気付いてんのかな。気付いてなさそ。 あれね、特有の壁があるように見えて唐突に距離が縮まったかと思えば全然壁ある的な! ……コイツこそ本物のプレイボーイだよね。 涼しい顔して麦茶を飲む親友をもう一枚撮って、俺はしみじみと感じた。ビジュ神。
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