モモパンマン

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「ってア、ア…ァァァまってわかったわかった、目ん玉飛び出る降参降参降参ごめん…!!!」 三角コーンを落とす無駄な抵抗はしたけど力は緩まなくて。 ベショォっ…と泣いて謝れば「ナヨい奴だな」鼻で笑われはしたけど追撃は止んで、俺は両手を即こめかみに当ててへこんでないか確認した。 異常は……ギリなし…! 「ぅげぇえ、痛かった…」 痛みからの解放とヘコんでなかった安堵で思わず目の前の肩にしなだれる。 親友らは別として副会長サマとか止めてくれればいーのにさあ…目の奥どころか頭痛もしてきたけどこの高さはちょうどいい、な…………。 瞬間。 強ばる会長サマの肩と俺。 きっと女の子となら王道のあの曲が流れるんだろうけど相手は会長サマ。 人目のあるところでベタつかれたりBL営業されんのが苦手な。 つまりはガッッッ!!! と俺は無言で椅子ごと勢いよく離れた。 思った以上に椅子と地面が擦れて音を立てたけど、沈黙の後に笑顔になった会長サマが何より空恐ろしい。 ああダメだこれもう死ぬわ絶対死ぬわ。散々無視してたくせに笑ってんなよ副会長サマ。 「そんな怯えるなよ」 「ごごごごごめんほんとごめん!!! でもいい高さがあったから!!!」 平謝りしても短気野郎は胸ぐらを引っ掴んできて苦渋の決断。 ここに居るメンバーの誰もが見向きも助け船も出してくれないなら……! 「そ…うやって俺を襲うつもりなんでしょ!! エロ同人みたいに!! エロ同人みたいに…!!」 突然のマジキチ発言に小紫色の目が一つしばたき、至極面倒そうに顔をしかめた。 後悔先に立たずだよバーカバーカ!! 「……誰だ不健全性的行為をしようとしている者は!!」 「ッアーー風紀委員長サマーー!! ここですここ、襲われちゃーう!!」 必死に声を張り上げれば近づいて来る鬼の気配。 学園プチ名物。卑猥な単語を学食内で大声で発すると風紀委員長サマが現れるってね! 「…貴様か鏡宮(かがみや)。それに久戸瀬(くとせ)華乃(けの)」 「これは風紀委員長。私は何もしていませんよ」 「俺も〜」 「俺だってしていないが?」 会長サマ同様に顔をしかめた風紀委員長サマは周囲を打ち見し、俺を見ると浅くため息をついた。ごめんなのだ……。 だけど策略通り標的は上手く移ってくれたみたいで。閃光弾ける二人を横目に襟を正し、一人で帰ろうとしてた親友の横に俺は滑り込んだ。 これが一つの攻略法だしオセアニアじゃあ常識なんだよ! んで。 「親友、親友。なんで俺のこと置き去りにすんの?」 「いつものことだろ」 「死にかけてんのが日常…?」 わりかしいつものことだね。 なんて、最後に流し目で見たとき。 バッドタイミングで会長サマと転入生クンがぶっちゅーしてた気がするけど気のせい。 学食から数十人の親衛隊が飛び降りようとしてたのも気のせい。 だと思いたい。思った。 「今日も世界は平和だね!」 「目腐ってんのか?」
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